なりゆき皇妃の異世界後宮物語
 朱熹は曙光の言葉に驚き、目をパチパチと瞬かせて、それからプッと笑いを噴き出した。


「本当にそう思ってます?」


 朱熹は疑いの目で曙光を斜め見る。


「本当だ! 世辞などではないぞ!」


 曙光は必死になって訴える。


「ふふふ、ありがとうございます。

陛下からは心の声が聴こえないから、なんだか嘘っぽく聞こえて」


「余は心の声を聴こえなくする方法を知っているからな。

でも本当だ。本当に、今まで食べた食べ物の中で一番に美味い」


 これ以上のない褒め言葉を貰い喜ぶ一方で、聞き逃すことのできない台詞が出てきた。


「え? 心の声を聴こえなくする方法なんてあるのですか?」


「なんだ、知らなかったのか?」


 曙光は何でもないことのように言い、また一口餡餅を頬張る。
< 122 / 303 >

この作品をシェア

pagetop