なりゆき皇妃の異世界後宮物語
「聞いたことありません。

そもそも、両親以外に心の声が聴こえることを知っている人に初めて出会いましたし……」


「皇族は、幼き頃から心の声を聴こえなくする方法を学ぶ。

よって、皇族であれば誰しも心の声を封じている」


「心の声を封じるなんて、そんなことができるのですか?」


「心の中で呟かねばいいだけだ。

考えることと、呟くことは違う。

コツを掴めば誰にでもできる」


 簡単そうに言い切ったけれど、なかなか難しそうだけど……と朱熹は思った。


 心の声を封じていたのなら、聴こえなくて当たり前だ。


 ということは、曙光は表面的な言葉とは違うことを思っている可能性があるということだ。


 裏表のない人なのねと安心しきっていたけれど、これで何を考えているのか益々分からなくなった。
< 123 / 303 >

この作品をシェア

pagetop