なりゆき皇妃の異世界後宮物語
 朱熹は本気で悔しくなってきた。


 曙光が自分のことをどう思っているか知りたい。


 朱熹は、まさか曙光が自分に気があるなどとは露ほども思っていない。


 だから純粋に気になるのだ。


 どう思っているのだろう。


 曙光から見た自分は、どのように映っているのだろう。


 まったく想像もできないから、なおのこと気になる。


「しょ、しょこ……しょ……」


 何度も口に出そうとしては言葉に詰まる。


 相手は皇帝陛下である。


いきなり平民である自分が、呼び捨てになど恐れ多いにも程がある。


 でも、二人はだいぶ打ち解けてきた。


 軽口を叩けるようにまで親しくなった。


(皇帝陛下だと思わなければいいのよ。

今、私の目の前にいるのは、曙光というただの男の人……。

そうよ、陛下だって立場を外せばただの人……)
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