なりゆき皇妃の異世界後宮物語
☬花言葉は「注意を怠るな」
政務殿にある渡り廊下で、庭園を眺めながら考え込む一人の男がいた。
精悍な眼差しで遠くを見つめるその様はとても美しく、それが逆に近寄り難い雰囲気を助長させてもいた。
黒地の上衣の袂には赤い朱雀の刺繍が施され、裳は深紫色だ。
皇帝だけが着用を許されている特別な朝服を華麗に着こなしている。
曙光は、誰にも見られていないと思い、はあ、と深いため息を吐いた。
するとその時、何かが曙光の肩めがけて右端から飛んできて、咄嗟にそれを左手で掴む。
握りしめた左手を開くと、赤い百日草の花が出てきた。
曙光はふっと笑うと、外に向かって声を掛けた。
「秦明、隠れていないで出てこい」
背の高い生垣がカサカサと動き、秦明がひょっこりと顔を出した。
精悍な眼差しで遠くを見つめるその様はとても美しく、それが逆に近寄り難い雰囲気を助長させてもいた。
黒地の上衣の袂には赤い朱雀の刺繍が施され、裳は深紫色だ。
皇帝だけが着用を許されている特別な朝服を華麗に着こなしている。
曙光は、誰にも見られていないと思い、はあ、と深いため息を吐いた。
するとその時、何かが曙光の肩めがけて右端から飛んできて、咄嗟にそれを左手で掴む。
握りしめた左手を開くと、赤い百日草の花が出てきた。
曙光はふっと笑うと、外に向かって声を掛けた。
「秦明、隠れていないで出てこい」
背の高い生垣がカサカサと動き、秦明がひょっこりと顔を出した。