なりゆき皇妃の異世界後宮物語
「子作りもしない、政治にも使わない、お前は朱熹ちゃんを飼い殺しにする気か!?」


「そういうわけではない。俺だって色々と考えているんだ」


「おー、分かった。じゃあその考えとやらを聞かせてもらおうじゃないか」


 秦明は腕を組み、睨みをきかせた。


 しかし曙光はその眼差しから、ふいと目を逸らせる。


「今は言えない」


「なんでだよ」


 言えば反対されるから、とは口が裂けても言うまいと曙光は心の中で誓う。


「時期が来たら言う」


「いつだよ」


「それは分からない」


「お前なあ、いい加減ぶん殴るぞ」


 秦明は曙光の胸首の衣を掴んだ。本気で怒っている。


「ほう、皇帝をぶん殴ろうとは大した度胸だな。やるか?」


 曙光もうっすら微笑みを浮かべて応戦する。
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