なりゆき皇妃の異世界後宮物語
 首を右に傾ければ、曙光が見える。


 こんなあからさまに図星の顔を曙光に見せるわけにはいかない。


『なんだ、朱熹ちゃん、曙光にベタ惚れじゃん』


 秦明の心の声が聴こえてきて、真っ赤だった顔は青ざめ冷や汗が垂れてくる。


(は、は、は、恥ずかしすぎる!)


 穴があったら入りたい。


 入ったまま一年くらい引き籠っていたい。


 どうしよう、陛下はどう思っているだろうか。


 違いますと否定することもできないし、むしろ陛下のことは気になっていて、片時も頭から離れなくて、たぶんこれは陽蓮の言う通り、好きってことだと思うけれど……


(どうしよう、絶対迷惑だって思ってる!)


 朱熹はぎゅっと目を瞑り、拳を握った。
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