なりゆき皇妃の異世界後宮物語
 突然自分の意見を求められて朱熹は驚いた。


 どうしたい……。


 これまで考えたことがなかった。


自分には選択の余地などなかった。


「それは、どういう意味でおっしゃっているのですか?」


「ずっと考えていた。

あの日、無理やり皇族に仕えよと言って、妃にさせた。

それで本当に良かったのか」


 曙光の言葉に、朱熹は胸がチクリと痛んだ。


 自分と結婚したことを、後悔している?


「一族が突然消えたのは、皇族に仕えることに嫌気がさしたからではないのか。

それなのに、何も知らない朱熹を無理やり妃にさせることは、一族の意思に反することではなかったのか」


 思いもしなかった見解に朱熹は驚いた。


 同時に、一族の意思をも尊重しようとする曙光の優しさを知る。
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