なりゆき皇妃の異世界後宮物語
 両親は、宮廷を毛嫌いしていた。


 もしも彼らが生きていたら、皇帝に嫁いだ朱熹を見てどう思っただろうか……。


 この結婚は、許されてはいけないものだった……?


 朱熹は、曙光を見つめた。


 整った顔立ちに威厳のある風格。


皇帝になるべくしてなった御方といわれ、いつも冷静で顔の表情を崩さないため近寄り難い雰囲気を持っているが、内面はとても優しい方。


 優しすぎるといってもいい。


 こんなこと朱熹に告げず、一族の思いなど無視して能力を皇族のために有効に使えばいい。


 けれど、彼はそれを良しとしない。


 朱熹の意思を聞こうとしている……。


 私は、彼を好きになってはいけなかったのかもしれない。


 一族を、大好きだった両親を、裏切ってしまっているの?
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