なりゆき皇妃の異世界後宮物語
「一族のことは分かりました。

これは、私の問題。

一旦、考えさせてください。

でも、それと陽蓮さんとの話は別です。

陽蓮さんが皇帝となったら、私はどうなるのです?」


「それも、朱熹の意思を尊重しようと思う」


「え……?」


「朱熹が兄さんを好きなら、兄さんの正妻になればいい」


 曙光は目線を落とし、悲しそうに言った。


 けれど、朱熹は怒りのあまり開いた口が閉じなかった。


「私が……陽蓮さんを好き?」


 朱熹はわなわなと震えながら言った。


「府庫に毎日のように行っていたのは、兄さんがいたからなのであろう?」


 誤解は解けたと思っていたのは、朱熹だけのようであった。


 あんなに必死で否定したのに……。


 朱熹は怒りを通り越して悲しくなってきた。


 どうして信じてくれないの?
< 163 / 303 >

この作品をシェア

pagetop