なりゆき皇妃の異世界後宮物語
☬弓矢の行方
 曙光は何者かに命を狙われていた。


 皇帝という立場上、命を狙われるのは仕方のないことだ。


 他国が、とりわけ天河国が曙光のことをこころよく思っていないことは自明の理だった。


 餡餅に毒を盛られた事件の黒幕も天河国からの密偵の仕業だろうと言われている。


 確定ではないのは、捕らえた者が自害し、一切の真実を自らの死によって闇に葬り去ったからだ。


 証拠がなくては天河国に詰め寄ることもできない。


 それに、今、こちらから動きを見せれば大きな戦になることは間違いなかった。


 戦争になれば、有利なのは天江国だ。


 国の大きさ的にも、武力知力共に天河国を上回っている。


 それに、なんといっても天江国には曙光がいる。
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