なりゆき皇妃の異世界後宮物語
 私の先祖と、皇族の間に何があったかは知らないけれど、今の皇帝は曙光様。


 曙光様の助けになるなら、私の力をお役立てしたい。


 朱熹は、腹を据えた。


 結ばれてはいけない運命だったのはないかと心を痛めていたが、先祖と皇族のいざこざと自分たちは関係ない。


 好きの気持ちを抑えない。


 朱熹の心は晴れやかだった。



 次の日も、曙光から贈り物が届いた。


 一輪の白い芍薬と共に、新たに文が加わっていた。


〈君のように上手くは包めないが余の気持ちだ〉


 たった一文、されど一文。


 達筆な字で書かれた言葉に、泣きそうになる。


 自分のためにわざわざ筆を取ってくれたこと。


 不器用ながらも、綺麗な青色の色紙で花を包んでくれたこと。


 それらが嬉しくて、感極まって胸がいっぱいになる。
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