なりゆき皇妃の異世界後宮物語
 朱熹の言葉に、曙光はまるで雷が落ちたかのような衝撃を受けた。


 朱熹の目は、キラキラと輝いている。


 まるで、曙光が小さい頃に、両親たちの前で夢を語った時と同じような瞳の輝きだった。


 そして、幼き日の曙光が語った夢の内容と同じようなことを朱熹が口にした。


 〈いつか、天江国を誰もが幸せで安心できる立派な国にしたい。遠くに離れて見えない人にも手を差し伸べて助けてあげたいんだ!〉


 六歳か七歳頃の曙光は、目を輝かせて夢を語った。


 しかし、両親やおじさんおばさん、皇族の一派は、曙光の夢を鼻で笑って聞き流した。


〈見えない人にどうやって手を差し伸べるんだ〉


 そう言って彼らは笑い、幼い曙光はすっかり消沈して項垂れた。
< 219 / 303 >

この作品をシェア

pagetop