なりゆき皇妃の異世界後宮物語
 朱熹は真っ直ぐに曙光を見つめる。


「朱熹……」


 再び名前を呼び、堪え切れなって、抱きしめる。


 胸に湧き上がる強烈な感情。


 朱熹を想う、愛しい気持ち。


 もうこの気持ちを抑えたりなどしない。


 朱熹は驚きながらも身を任せた。


 拒む理由など何もない。


 曙光の腕の力が、湧き上がる気持ちを抑えようとぐっと力がこもる。


『愛している……』


 突然、聴こえた心の声。


 心の声は、外に発せられた声とは微妙に異なって聴こえる。


 まるで電気を通すように振動の波長がずれている。


 だから、声を出して言ったのか、心の声が聴こえたのか区別することができるのだ。


(今のは、曙光様の心の声?)
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