なりゆき皇妃の異世界後宮物語
「知ってどうするの?」


「誰かを守るために仕方なくやったことなら、死刑を免れるかもしれないじゃないですか」


「皇帝を暗殺しようとした罪は、いかなる事情があっても死罪だと思うけど」


「そうかもしれません。でも、曙光様なら事情を知れば許してくれるかもしれない」


「まあ、あいつは甘いからね。よっぽどの事情なら考えられなくもない」


 朱熹はパッと顔が輝いた。


 どうして林冲が曙光を襲ったのか。林冲の『守らなければ』と言った心の声を頼りに調べれば、彼の死罪は免れるかもしれない。


「それで、僕にどうしろと?」


「調べてほしいんです」


「曙光に頼めばいいだろ」


「曙光様は宮中を出られてしまって伝えられないんです」


「じゃあ、自分のコネを使って調べれば?」


「私は平民出身なんです! コネなんてありません!」
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