なりゆき皇妃の異世界後宮物語
 すぐに門兵は、官吏を続々と連れて戻って来た。


 門の前で皇后が中に入れろとごねている、ということを聞いた官吏たちは、物珍しさで関係のない者も来たらしい。


 あっという間に城の前には数十人ほどの人だかりができた。


 ほとんどが野次馬である。


「恐れ入りますが、いくら皇后様でも朝廷に入ることはできないのでございます」


 朱熹を説得しようと話し出したのは、服装から判断するに、位の高い官吏だった。


「では今すぐ陛下をここに呼んできて。至急話したいことがあると」


 すると、位の高い官吏は一瞬鼻で笑った。


「お言葉ですが、陛下への謁見は、陛下が望まないと機会を設けることができません。いくら皇后様が会いたいと思っても、陛下が望まなければできないのでございます」


 とても見下した言い方だった。
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