なりゆき皇妃の異世界後宮物語

　止めたくても、触ることができず、慌てふためきながら、朱熹の後ろに付いていくだけだった。


　朱熹はついに、皇禁城の中へと入った。


　まるで取り巻きのようにぞろぞろと官吏たちが朱熹の後を付いている。


　なんとか止めなくてはと思いつつも、誰もが朱熹が怖くて止めることができなかった。


　もしも力づくで抑えようものなら、後に自分の処遇がどうなるか分かったものではないからだ。


（さあ、入ったはいいけど、ここは広すぎるわ。曙光様はどこにいるのかしら）


　どこに向かうべきか分からず、とりあえず足早に進んでいくと、「何の騒ぎだ！」と官吏たちを叱るような声が聞こえてきた。


　立派な武官の衣装に身を包んだその人物は、遠目からでも偉い人物だというのが分かる。