なりゆき皇妃の異世界後宮物語
頭を下げながらも、空間を把握し適切な場所を見定めることも一朝一夕にはできない至難の技だ。
「頭を上げよ」
よく通る低い声だった。声音にさえ威厳が漂っている。
皇帝陛下の許しを得て、朱熹は拝礼をした後、ゆっくりと頭を上げた。
すぐにお顔を見ては失礼に当たると母から教えられていた為、目線は下から徐々に上げていく。
玉座に腰掛けている陛下のお召し物は、小龍柄の下裳に、艶めくシルクの紅肩衣を羽織られていた。
そして天冠帽子を被られている陛下のお顔は、息を飲むほどに整っておられた。
鋭い眼差しに、固く閉じられた薄い唇。
先代が早逝した為、若くして皇帝の座に就いた陛下の年齢は、確か二十三歳だったと思う。
朱熹よりも五歳年上とはいえ、威厳のある風格は、両脇に並んでいる年輩の官吏たちよりも遥かに勝っている。
圧倒的な存在感。
朱熹は、驚きの色を隠せなかった。
「頭を上げよ」
よく通る低い声だった。声音にさえ威厳が漂っている。
皇帝陛下の許しを得て、朱熹は拝礼をした後、ゆっくりと頭を上げた。
すぐにお顔を見ては失礼に当たると母から教えられていた為、目線は下から徐々に上げていく。
玉座に腰掛けている陛下のお召し物は、小龍柄の下裳に、艶めくシルクの紅肩衣を羽織られていた。
そして天冠帽子を被られている陛下のお顔は、息を飲むほどに整っておられた。
鋭い眼差しに、固く閉じられた薄い唇。
先代が早逝した為、若くして皇帝の座に就いた陛下の年齢は、確か二十三歳だったと思う。
朱熹よりも五歳年上とはいえ、威厳のある風格は、両脇に並んでいる年輩の官吏たちよりも遥かに勝っている。
圧倒的な存在感。
朱熹は、驚きの色を隠せなかった。