なりゆき皇妃の異世界後宮物語
 ……陽蓮。


 皇族という権威を持ちながら、自ら放棄した人。


 彼の生き方が悪いとはいえない。


 彼なりの考えがあって、権力を放棄しているのだとしたら、その考えに触れたいと思った。


 共感できるか否かは分からない。


 逃げているだけだと思うかもしれない。


 そういう生き方もありだと肯定し、新たな自分の生き方を見つめる機会になるかもしれない。


(知りたい、陽蓮さんはどうして権力を放棄したのか……)


 朱熹はいてもたってもいられなくなり、部屋を飛び出した。


 自分はこれからどうするべきなのか。どう生きるべきなのか。


 陽蓮が答えを持っているとは思わない。


 ただ、道筋のヒントを持っている気がした。
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