なりゆき皇妃の異世界後宮物語
「凄い、素人が作ったにはとても見えないわ」


 陽蓮の器用さに驚く。


 突き詰めるととことんやる根っからの芸術肌なのだなと思った。


「まあ、僕、天才だからね」


 かなり自信過剰な発言だが、陽蓮が言うと嫌味に聞こえない。


 実際、本当に天才なのではないかと思う。


「どうして頭も良くて、器用で、何でもできそうなのに、皇帝になることを拒んだんですか?」


 朱熹の問いに、陽蓮は黙った。


 自然な流れで聞いたつもりだったが、あまりにも踏み込んだ話題だったのかもしれない。


 でも、今日はこのことを聞くためにわざわざやってきたのだ。


 引き下がるわけにはいかない。


「陽蓮さんは、皇族の立場を捨てて、後悔はないのですか?」
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