なりゆき皇妃の異世界後宮物語
「え?」


「これが天江国にとっていいのか悪いのか分からないけど、これからどんな風に国を操っていくのか、先が分からなくて、本当に面白い」


 朱熹の困惑する問いに気付かず、陽蓮は愉快そうに言った。


「え、ちょっと待ってください。林冲を助けた?」


「うん」


 朱熹は、陽蓮が林冲の死刑執行が終わったことを知らないのだと思った。


「陽蓮さん、林冲はもう亡くなっています」


 朱熹は、とても言いづらそうに告げた。


「え? だって、あそこにいるじゃん」


 陽蓮は府庫の方を指さして言った。


「あそこ……?」


「ここに来た時に会わなかった? 府庫の番やってるよ」


「ええええ!」


 朱熹の大声に、陽蓮はうるさそうに目を瞑った。
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