なりゆき皇妃の異世界後宮物語
「わたくしは気に入っておりますぞ。ここならいくら居眠りしていてもいいですからな」


 ハハハハと林冲は声を上げて笑った。


「林冲の鋭い読みは国の宝だ。これからも頼りにしてるぞ」


 曙光の言葉に、林冲は顔が引き締まった。


「誠心誠意、この命が尽きるまで陛下に従わせて頂きます」


 林冲は、片方の手の平に反対の手をこぶしに当てて抱拳礼のおじぎをして言った。


 府庫内が温かい雰囲気に包まれた。


 なんだかんだあったが、全ては丸く収まったのだ。


「あの、林冲、私、聞きたいことがあったのですが……」


「書孟、ですよ」


 林冲は優しく諫める。


「あ、書孟。書孟のご家族も心の声が聴こえるんですか?」


 書孟は、にこやかに笑い首を振った。
< 288 / 303 >

この作品をシェア

pagetop