なりゆき皇妃の異世界後宮物語
「私は……悪くない運命だと思っています」


「私もです。三十年前、天江国皇帝と仲たがいをした私の父に教えてあげたいです。今の皇帝は悪くないぞと」


「悪くない……これは褒められているのか?」


 曙光の言葉に、朱熹と書孟は笑った。


「書孟さんのお父さまは今……?」


「亡くなりました。仲たがいをして一年も経たないうちに。まあ、歳も歳でしたしね」


「そうだ、知りたかったことがある。女には心の声が聴こえないと皇族には言っていたそうだが、あれは女を守るためだったのか?」


 曙光の問いに、書孟は少し考え込んだ。


「……極めてまれなことではあります。

嘘を伝えていたのではなく、本当に遺伝していなかったのだと思います。

ですが、過去に一度だけ女の能力者がいたと聞いたことがあります。

初代国王徽鄭の時代です」
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