なりゆき皇妃の異世界後宮物語
 朱熹は顔が真っ赤になった。


 心の声を聴かれることがこんなに恥ずかしいことなんて。


 今まで勝手に聴いていたことが申し訳なくなる。


「朱熹はどういうことを呟いているんだ?」


 曙光が興味津々といった様子で書孟に聞く。


「駄目です! 絶対曙光様には教えないでください!」


「なんでだ」


 曙光が不満げに朱熹を見つめる。


「曙光様にだけには絶対に聞かれたくないんです!」


「そんなに余の悪口を心の中で呟いているのか」


 曙光はショックを受けた。


「違います! そんなわけないじゃないですか! 恥ずかしくて死んじゃいます!」


「余計気になってきたぞ。書孟、ちょっとだけ教えろ」


「駄目ですってー!」


 書孟の側に寄り、耳打ちで聞こうとしている曙光の体を、朱熹が必死で引っ張る。


(アホくさ……)


 陽蓮は、二人のやり取りがいちゃついているようにしか見えず、黙ってその場を立ち去った。

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