なりゆき皇妃の異世界後宮物語
「かっこよかった」


 朱熹が不服そうなので、曙光は言い方を変えてみる。


「それも褒められている気がしません」


「それでは言い直そう」


 曙光は目を開け、朱熹の瞳を真っ直ぐに見つめた。


「惚れ直した」


「惚っ……」


 朱熹の顔が真っ赤に染まる。


「お戯(たわむ)れを……」


 恥ずかしくて曙光の顔が見られない朱熹は、顔を横に背けた。


「戯れてなどいない。余の本心だ」


 曙光は起き上がり、胡坐をかいて朱熹と向き合う。


「どうして急にそんなことをおっしゃるのですか?」


 朱熹の問いに、曙光は一瞬間を置いた。


「……覚悟ができたからだ」


「覚悟?」


< 296 / 303 >

この作品をシェア

pagetop