なりゆき皇妃の異世界後宮物語
 朱熹は、背けていた顔を直し、曙光の目を見る。


 曙光の顔はどこか吹っ切れたような清々しさを漂わせていた。


「余は、覚悟を決めた。天江国の皇帝としてこの身を捧げる。そして、皆が明るく笑って暮らせるような世を作っていきたい」


「お兄様のことはいいのですか?」


「ああ、もう待たない。というよりも、自分の力で作りたくなったのだ。

これまではどこか、皇帝という重圧から無意識に逃れようとしていたのかもしれない。

朱熹から言われて、自分の本当の気持ちが分かった」


「あの時は強く言い過ぎてしまい申し訳ありませんでした」


「いや、あれで目が覚めた。己の成すべき道が見えた」


 曙光の言葉は頼もしかった。


 体から自信が漲っているように見えた。
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