なりゆき皇妃の異世界後宮物語
『可愛いな、可愛すぎる』


 曙光の心の声が聴こえてくる。


 けれど、胸に直接響くように聴こえているわけではないので、心の中でただ呟いているだけだ。


「あの、曙光様、心の声が聴こえております」


「うむ」


『もう一度、キスしたら怒られるかな』


 またしても、心の声が聴こえてくる。


「あ、あ、あのっ!」


『好きだ』


「え、え、ええと、これは一体……」


『大好きだ。愛しい気持ちが溢れて止まらない』


 曙光の心の声がどんどん聴こえてくる。


 しかも全てが愛の告白。


 朱熹は顔を真っ赤に染めながら、どうしていいのか分からなくなった。


「待ってください! これは何の冗談ですか?」


「冗談などではない。余の心の声。つまりは本心だ」
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