なりゆき皇妃の異世界後宮物語

「でも、曙光様は心の声を操れるではありませんか！」


　林冲も朱熹が心の声を聴けることが分かっているから、本心は隠しわざと心の声を呟き朱熹に聴かせていた。


　心の声が操れる者にとって、心の声で呟くのと口に出して声を発するのは大差がない。


「そうだが、これが余の偽らざる心の声だ。もう朱熹への思いを隠したり、押し殺したりなどせぬ」


　朱熹は、以前に曙光が漏らした心の声を聴いている。


　あれは、理性では抑えることのできない、湧き上がる強烈な思いを発した時に聴こえる声だった。


　胸に直接響くような心の声。


　曙光は確かに『愛している……』と言った。


「どうして急に……」