なりゆき皇妃の異世界後宮物語
「皇帝として生きる決心をした。

皇帝の大事な役割の一つに世継ぎを作る仕事がある。

幸いなことに、余にはすでに最高にして最愛の皇后がいる。

だが彼女は本意で皇后となったのではない。

だから余は、全力で口説き落とそうと思う」


 曙光は真っ直ぐな眼差しで、誠実に朱熹に語りかける。


「愛している、朱熹。これからは心の声を抑えたりなどしない」


 曙光は朱熹の手を取り、自分の胸に手を当てさせた。


『君より大事なものなどない。絶対に君を幸せにしてみせる』


 胸に響く心の声だった。


 曙光の気持ちが苦しいほど伝わってきて、朱熹は涙が溢れてきた。


 こんなにも大事に思われていたことを知る。


 こんなにも愛されていたことを知る。
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