なりゆき皇妃の異世界後宮物語
暴れる男を押さえ、隠し持っていた袋を取り上げる。
「ありました!」
官吏が袋を上に掲げ、声を出した。
「それを調べてください! 皿に塗られた毒と同じ毒が入っているはずです!」
無事に犯人が捕まり、朱熹はほっと安堵した。
緊迫していた雰囲気もいくぶん和らぐ。
しかし一人だけ危急の様子を崩さない男がいた。
玉座から立ち上がり、驚いた顔で朱熹を見つめる。
「……なぜ、犯人が分かった」
陛下の言葉に、皆がハッとして朱熹を見つめる。
「それは……」
朱熹は言葉に詰まり、目線を泳がせる。
(言えない……、このことは死んでも言うことはできない)
朱熹にとって亡くなった両親の教えは絶対だ。
それに、言ったところで信じてもらえるわけがない。
それならば、秘密を胸に隠し、潔く死を受け入れた方がましだ。
「……この者を、捕らえよ」
静かに言い放たれた皇帝の勅命により、あっという間に朱熹は体を押さえられ、床に頭をつく形で固定された。
(仕方ないわ。こうなることは分かっていた……)
朱熹は死を覚悟して、ゆっくりと瞼を落とした。
「ありました!」
官吏が袋を上に掲げ、声を出した。
「それを調べてください! 皿に塗られた毒と同じ毒が入っているはずです!」
無事に犯人が捕まり、朱熹はほっと安堵した。
緊迫していた雰囲気もいくぶん和らぐ。
しかし一人だけ危急の様子を崩さない男がいた。
玉座から立ち上がり、驚いた顔で朱熹を見つめる。
「……なぜ、犯人が分かった」
陛下の言葉に、皆がハッとして朱熹を見つめる。
「それは……」
朱熹は言葉に詰まり、目線を泳がせる。
(言えない……、このことは死んでも言うことはできない)
朱熹にとって亡くなった両親の教えは絶対だ。
それに、言ったところで信じてもらえるわけがない。
それならば、秘密を胸に隠し、潔く死を受け入れた方がましだ。
「……この者を、捕らえよ」
静かに言い放たれた皇帝の勅命により、あっという間に朱熹は体を押さえられ、床に頭をつく形で固定された。
(仕方ないわ。こうなることは分かっていた……)
朱熹は死を覚悟して、ゆっくりと瞼を落とした。