なりゆき皇妃の異世界後宮物語
宮廷を訪れた時に通った大門はくぐらずに、北西にある小さな門から宮廷に入った。


 朱熹を乗せた馬車は、宮廷の奥へと突き進み、一軒の邸宅の前で停まった。


 すると邸宅の中から数人の女性が現れ、待ってましたとばかりに急いで朱熹を部屋へと案内する。


「疲れましたでしょう」と彼女たちは労いの言葉を掛け、「本日はもうお休みになってください」と言って朱熹を寝室に連れて行った。


 彼女たちの心の声を聴くと、どうやら朱熹のことをどこかの令嬢の娘だと勘違いしているらしい。


 勘違いというか、嘘を教えられてそれを信じきっているといった方が正しいか。


 彼女たちは後宮に勤める女官で、指令を受けてこの邸宅で朱熹の到着を待っていたらしい。


(こういう時、心の声が聴こえるというのはとても便利ね)
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