なりゆき皇妃の異世界後宮物語
(面白くなりそうね)


 朱熹と林冲は仲良く並んで歩き出した。


「さて、どちらを案内致しましょう。

ぐるっと宮中を一周でもしますか?」


『あまり長いこと歩くと膝が痛くなるんだがの』


「私、本が読みたいんです。

宮中には大きな府庫があると聞きました。

そこに連れて行ってください」


「府庫ですか、いいですね。私も本が大好きです」


『良かった、府庫ならここからさほど遠くないわい』


 林冲はよく喋る老臣だった。


そして心の声もよく聴こえた。


心の声はよく出す人と、あまり出さない人がいる。


今香の心の声はあまり聴かないが、この老臣は、ダダ漏れと言っていいくらい心の声が聴こえてくる。


歩きながら自分の孫や子供の話をしてくれた。


とても家族思いの面白い人だった。
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