なりゆき皇妃の異世界後宮物語
「府庫は宮中に二つありまして、一つは芸術の森と呼ばれる大きな殿舎に。

そしてもう一つは朝廷にあります。

朝廷には軍議の書物が多く集められているので、殆どの者が朝廷の府庫を利用しています。

芸術の森はその名の通り、本や楽器や絵画が集結している場所で、ほとんど誰も使っておりません」


「なるほど、皆さま忙しいですものね」


『そもそも芸術に興味がある者がほとんどいないのじゃがな』 


「そうそう、言い忘れておりましたが、宮中は皇后様の家のようなものでありますから、自由に歩いてくださって構わないのですが、朝廷は政治執務を行う場所ですので、お入りいただくことはできません。

それだけはご了承願います」


『固いこと言わずに朝廷にもおなごを入れればいいのにのう。

自分の家なのに入れないなんておかしいと儂は思うんじゃが』
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