なりゆき皇妃の異世界後宮物語

「まあ、朱熹ちゃんは人の心が聴こえるからね。曙光の下心なんかも筒抜けになっちゃうから、それは会いにくいか……」


　下心なんかないとムっとした表情で秦明を睨み付けた。


「彼女に俺の心の声は聴こえない」


「どうして」


「心の声を出さないようにする方法があるんだ。

彼女は心の中が読めるわけではく、聴いているんだ。

だから、心の中で喋らないようにすればいい」


「心の中で喋らないようにったって、どうすればいいんだ」


「考えることと、心の中で呟くことは別だ。

無意識に心の中で呟いていることをやめればいい。

コツさえ掴めば簡単だ。心の中で喋らなければいいだけだからな」


「分かるような分からないような……」


「代々皇族は、人の心が聴こえる能力を持つ一族が存在すると知っていた。

だから幼少期から心の中で喋らないようにする訓練をさせられたんだ」


「なるほど」