なりゆき皇妃の異世界後宮物語
「彼女を不幸にはしたくない。彼女の気持ちを最大限に優先したい。

俺が部屋に訪れることを彼女は望んでいないなら、無理強いしたくはない」


「林冲は朱熹ちゃんが寂しがっていると言っていたではないか」


「だからそれが不思議で……。そんなわけないと思うのだが」


「いや、だからな、皇后になったのに皇帝が一度も訪れないなんて、後宮の女たちから笑い者にされるぞ」


「そうなのか!?」


曙光は驚いた表情で秦明を見た。


「お前は……。

朱熹ちゃんがかわいそうだろ。

とりあえず一回行ってこい」


 曙光は少し戸惑いながらも、最後は大人しく頷いた。


 曙光の心の声が朱熹ちゃんに聴こえたら、どんなに大切に思っているのか伝わるのに……。


上手くいかないもんだねー。


 秦明は二人の行く末を思いやると、ため息が出た。


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