なりゆき皇妃の異世界後宮物語
後宮の存在意義、ひいては皇后の最たる仕事は、皇帝陛下の子孫を残すことである。


 この大事な務めを果たさなくてはいけない。


 これまで曙光は後宮に関心すら持たなかった変わり者である。


重大な責務が、朱熹の肩にのしかかっていた。


(私は心の声が聴こえるから、皇帝のお側にいるために皇后になった。

お世継ぎを産むことも私に課せられた任務なの?)


 心の声が聴こえることと、お世継ぎを産むことはまったく別のことに思えた。


 後宮内には目も眩むような美女が陛下の訪れを持っている。


 何も地味な顔立ちの平民を相手にすることはないだろうと朱熹は思う。


 皇帝の目的はきっと、別なところにあるはずだ。


決して女官たちが期待する仕事をしに来るわけではない。
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