なりゆき皇妃の異世界後宮物語
 朱熹はまじまじと曙光を見つめた。


 偉ぶった態度も取らないし、自由を奪う代わりに、皇后という最高位を与えて、朱熹が辛い思いをしないように配慮までしてくれる。


 この方は、とても誠実な人なのかもしれない。


 朱熹は、不思議と胸がトクトクと高鳴っていた。


「どうした?」


 不思議そうに小首を傾げ、朱熹を見つめた曙光の顔立ちを間近で見て、改めて整った顔をしていることに気が付いた。


「いえ、何でもありません!」


 朱熹は慌てて顔を背けた。


 急に耳まで赤くなった朱熹の異変に曙光はまるで気が付かない。


そういうところはとんと疎いのが曙光という男である。


「さて、朝までどのようにして過ごそうか。

そなたは寝ていていいぞ。余は月でも見ながらのんびりと酒を傾けよう」
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