なりゆき皇妃の異世界後宮物語
 曙光は晴れやかに笑った。


 今宵の目的を朱熹に告げて、緊張から解き放たれたらしい。


「陛下さえ宜しければ……お付き合い致します」


「酒が飲めるのか?」


「ええ、多少は」


 朱熹は慎ましく笑ったが、多少どころではなかった。


 曙光はどんなに飲んでも潰れることはない酒豪だったが、朱熹もなかなか強かった。


 さすがにどんなに飲んでも顔色一つ変わらない化け物のように酒に強い曙光のようにとまではいかないが、朝まで飲み明かしても理性を保てるくらい強い。


 最初は緊張しながら陛下と飲んでいた朱熹だったが、だんだんほろ酔い気分で楽しくなってきた。


 饒舌に自分の幼少時代のことを話し出す。


「昔はとてもやんちゃで、男の子とばかり遊んでいました。

家の近くにある山が遊び場で、いつも駆け回っておりました。

おかげで足腰が強くなり、体力もついて、男の子と喧嘩しても勝つことの方が多かったです。

負けん気も強く、いつも体に傷をつけて帰って来るので、父や母は頭を抱えておりました」
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