働く若輩ですが、叫ばせてくれ!
アルバイト生活

面接受かった瞬間から嫌な予感はしてたよ

アルバイト生活初日の出来事です。
最初の仕事としてレジ打ちを任され、パートの梅原さん(仮)に教えていただきながら必死に笑顔で接客していました。

うちのお店は量り売りの惣菜屋なので、レジではタッパーの重さを引いてから量りに乗せますが、数種類のタッパーが複数出された場合は全てのタッパーの重さを足して、その合計を引いてから量りに乗せなければなりません。

慣れれば暗算ですぐに合計を割り出せるのですが……

「梅原さん、この容器は何グラムですか?」

「14グラム、19グラム、25グラムね」

「ありがとうございます」

私は電卓を叩きました

(14×3+19×2+25=143だね。えーと、ここにグラムを入力して……)

それを見ていたお客様は突然レジカウンターをバンと叩きました。

「さっさと会計しろや!なにのんびりしてんねん!」

「申し訳ございません!」

私は慌てて頭を下げると、計量し値段の打ち出しをしましたが、その間もお客様はツバを撒き散らしながら、

「早くしろ!いくらだ!」

と怒鳴っていました。私はアルバイト初日から心が折れそうになってきました。怒鳴り散らすお客様に値段を伝えるも、恐怖からか喉が震えて小さな声しか出ません。その時、見兼ねた梅原さんが少し大きな声で咳払いをしたのが耳にはっきりと聞こえました。

「お客様、申し訳ございませんが、彼女は現在研修中で本日初めてレジに立ちました。まだ仕事に慣れていないですが、間違えがないように彼女なりに考えて働いているので、どうかお付き合いいただけませんか」

お客様は「研修なら研修の名札付けとけ!」と怒鳴った後、イライラとした様子でしたが私がレジを打ち終わるまで待っていました。

まぁ、お金投げつけられましたが。

お客様が退店した後、私は梅原さんに深々と頭を下げました。

大抵の人はお客様ファーストを優先するあまり、このようにバイトを庇うことはないのですが、梅原さんははっきりとした口調で私を庇ってくださっただけでなく、レジ打ちの仕事を全うさせてくださいました。そのことが何より嬉しかったのです。

「ありがとうございます!」

「あらー、いいのよ!ここら辺のお客さん、あまり品がないし、酔っ払いとかに絡まれることもよくあるから一々気にしちゃだめよ!まぁ、店長があなたに研修の名札付けさせてないのも問題あるんだけどね!」

頭を下げた私に快活に笑いかけながらお客様と店長をディスる梅原さんは物事をはっきり言うタイプの人です。

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