働く若輩ですが、叫ばせてくれ!
【悲報、店長がムチャぶりばっかり言ってきます】

アルバイト生活2日目のことです。

「山田さん、レジ打ち早いね。初日のラストにはタッパーの種類も覚えて暗算できてたしレジスターも使いこなせてるから今日はキッチンやろっか」

店長は大変素晴らしい笑顔でエプロンを差し出してきました。
幸か不幸か、コンビニでのレジ打ち経験が役立ち、初日の半額セール(お店側はラストと呼んでいるのですが、詳しくはまた後ほど)には難なく素早くレジ打ちができるようになっていました。
又、心臓に毛が生えていることで有名な山田ぽん太は、最初のクレーマーで梅原さんから「気にしちゃだめよ」と言われたため、何があってもニコニコと対応することができたのです。

おかげで、店長から圧倒的な信頼を1日目にしてもぎ取った私は2日目にはアルバイトレベル25にまで上がってました。
エプロン、長靴、マスクという装備でキッチンの仕事は店長直々にご指導いただくことになりました。

私は不安ながらも、言われたことは忘れないようにメモを取り、わからない時は直ぐに聞くようにしていました。

そして、それは急にやってきました。

「山田さん、あのバイキングのお皿、色が良くないから変えて」

「はい!」

私は言われた通り、黒っぽいお皿から白いお皿に酢豚を移し替えました。何故このようなことをするのか……簡単に言うと商品が目立ち販売促進に繋がるからです。

勿論、色彩の勉強をしている私は元より知っていましたし、本日始めに店長から説明されていました。

「山田さん、なんで皿を交換してるか、わかる?たとえば、赤いリンゴを売る時、赤いトレーと白いトレーならどっちが目立つと思う?白やんな?それと一緒で……うんぬんかんぬん……」

皿替えしようとすると店長がずっと同じことを繰り返し語ってくるのです。はじめは手を止めて聞いていたのですが、店長の話は10分20分と続き、商品を店頭に並べに行けずに30分が経ちました。結局私は1つしか皿替えせずに次の仕事をした訳です。

それだけで終わればよかったのですが、私の怒りパラメータを爆破させたいのか、店長は後ろからネチネチと何かを話しかけてくるのです。

「やっぱり新人さんじゃ皿替えもまともに出来ないのか、30分もあったのに1つしか皿替えできてないじゃないか。あ、コンテナとカゴの清掃は30分以内に終わらせて。終わったら商品パックするから、商品名もある程度覚えておいて」

それだけ告げると店長は新人の私を残して裏へ引っ込みました。キッチンに1人残された私は無言で必死に大量のコンテナを洗っていました。

(っざけんな!新入り1人キッチンに残して何かあったらどうすんだボケ!責任問題はどうするよ!商品名覚えろつたってこちとら30分で全部洗い切れるかも謎なのに、一体どのタイミングで商品名確認すりゃいいんだよ!)

その後、30分で洗い終わらなかった私に対して鼻で笑った店長に殺意が湧きました。

その事をこの日シフトが一緒だったパートの福井さん(仮)に話すと、真っ黒な笑顔で

「あの人、本当に店長なんて向いてないわ。安心して、この店でのあの店長の信頼度なんてこれっぽっちもないから」

とおっしゃっていたので、この店のパートさんは皆様大変我が強いなぁと思いました。
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