【短】祭の夜に会いたくて


「で。本題!」

「一緒に花火?」

「そう。行こうよ!」

「でも、わたし……」



 その時、通り向こうの空が明るく輝いた。ついに花火が始まった。



「始まっちゃったよ」

「まだ間に合うって! だから……」

「だけどわたし、移動するの苦痛かも。人混み苦手なんだ」



 ハルがニヤリと笑う。いきなりわたしの手を取ると歩き始めた。



「ちょっと、待って」

「じゃあ、どうして浴衣着てるの?」

「え?」

「去年、言っただろ」



 あれも恥ずかしかった。
 そう。わたしはハルに告白された。今日みたいに大声で言われたんだ。


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