【短】祭の夜に会いたくて
大輪が空に咲く。
さっきまで見えなかった花火が、目の前で綺麗に輝いていた。
ちょっと遠くて小さく見えるけど、充分だった。
すごく、すごく綺麗。
「わたしこそ……よろしくお願いします」
「ヨッシャー!!」
「あ、危ないよ!」
「あ。悪ぃ」
滑り台の上にいること、忘れてたのかな。
思いっきりジャンプするから、違う意味でドキドキした。
そんなに嬉しいんだ。こんなに喜んでくれるなら、もっと早く言えばよかった。
ずっと、好きで好きでたまらなかったのに。
夏が来るのを待ち侘びて、ただ待っているだけで。
本当につまらないことをしていた。
もったいない時間を過ごしていた気がする。