君に出逢えて...
やっぱりこうやって人前で話すのは得意じゃない。それどころか人見知りだし、友達もできるかわからない。1人で悶々としながら歌恋は栗山に指示された席に座る。
「俺、内海永遠(うつみとわ)。よろしく。」
隣の席の男子が話しかけてきた。
「あ、よろしく。」
そう返しながら歌恋は内心ドキドキしていた。イケメンすぎる。まるで俳優かジャニーズみたいだ。東京にいた頃のクラスメイトよりイケメンだ。
「それじゃあ私は会議に行ってくるので、前にあるプリントをまとめて留めてください。新入生歓迎会の資料だから、綺麗に作ってね。」
そう言い残して栗山が教室から出ていく。徐々に教室はうるさくなっていく。
「なんでこんな田舎引っ越してきたの?」
永遠が聞いてくる。しかもキラキラ笑顔で。
「お父さんの転勤。」
「ふーん。大変だね。俺さ、1回だけ東京行ったことあるんだけどさ、半端ないね。ビルは高いし、田んぼは無いし異世界みたいだった。」
人見知りだけど、永遠とは普通に話せる。
「でもここも良さそうなところだね。なんか…のどかで。」
「え?それ褒めてる?若干ディスってるでしょ?」
「え、そんな事ないよ。うん、まあコンビニが遠すぎてびっくりしたけど。」
ははっ。と永遠が笑う。当然ここがいい所だとはまだ思えない。田舎すぎてなんにも無いし。電車とバスは1時間に数本だし。
「おい永遠!喋ってないで早くお前もやれよ!」
教卓の方から歌恋よりかなり身長の低そうな男子が叫ぶ。
「うるせー。分かったよ。」
ニヤニヤしながら永遠が返す。
「行こ。」
永遠にそう言われ、歌恋は頷いた。
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