君はアイドル
そりゃそうだ。
「綾子も、調子乗らないで気を付けてよ。」
分かってる!と2人して先に店を出た。
基くんも、じゃあな。と先に店を出て行った。
2人きりになって、なんとなく顔が見れない。
財布を探すふりで誤魔化そうとしていると、どこ行きたい?と声をかけられた。
顔を上げると、頬に手を当てて私を見つめる彼と目が合う。
よく見ると、耳にピアスが光っていて、色気が増していた。
「さ、誘ってきたの自分でしょ!
好きな所連れてってよ。」
ハハッと笑って、そうだな。とニヤニヤする彼に、本気でこの人一般人なわけなかった。と思い知る。
どんな表情をしても目が離せないとはこの事。
「好きな所って言ったら、1つしかないけどいいの?」
「え?なに?」
「カラオケもあるし、テレビも見れるしお酒も飲めるよ。」
「そんなとこある?
バー?」
「フハッ。
バーだと2人きりになれないだろ。
もっと良いところだよ。
来るのか来ないのか。」
「別にいいけど…」