君はアイドル


「………なんだ、ドエムか。」


「ほんっとに口が達者だな。」


ギュッと頬をつねられる。

手から香水のいい香りと、見下ろされる顔が恐ろしく綺麗。


なんでこの人私にこんな執着してるのかわからない。
いくらでも仲良くいられる女の子いるだろうに。


「なぁ、俺の出演してるテレビとか見た?」


「……いやでも見るよ。
CMやらポスターやら凄いもん。」

ふーん。と私をジロジロ見る彼に、何?とブスッと尋ねると、いや…いい。とそっぽ向いた。


布団の枕を持って来て寝転がる私に、そうだ!と言いながら目の前に紙切れを出した。


「ちょっと見れないってば!
なんでそういつも急なの?」


バッとそれを取り上げ、起き上がって見る。


「コンサートツアーSS席……。
えっ。」


彼を見ると、自慢げに私を見下ろす。


「チケット手に入ったから。
絶対来いよな。」


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