片想いの奇跡
彼とちょっと足のふらついたアラフォーっぽい女性二人が階段を上った。
私はホームに佇み、辺りを眺める。反対側のホームには人が少しづつ滴のように集まっていく。
これが毎日彼の見る世界。
私の降りる駅よりちょっと華やか。背の高いビルが勢いよく何本も空に向かっている。でも人は少ない。
早朝の軽い空気が冷たさを含んで辺りを泳いでいる。
でもこのひんやり加減は今の季節に丁度いい。
私は足早に彼を追った。