片想いの奇跡





ちょっと恥ずかしいかな?



知らなかったらそれはそれでショックだけど……。



そんな意味のない想像の杞憂は泡となった。彼はどうやら私のみならず周りの人々にもほとんど興味がないらしい。物見もせず振り向くことなく姿を消した。



そこで私は一段踏み込んだ足を降ろした。



やっぱ……



止めよう。



こんなの、ストーカーじゃん。



こういう些細な行動から粘着がエスカレートする、と何かで読んだことがある。



そんな惨めで下らない行為は止めておこう。



自分が可哀想になる。



私は降りたホームではないホームの階段を下り、待ち席に腰を下ろし、電車を待った。



きっと今の私の表情は穏やかだろう。情けない女にならなくて済んだ。 心が満ちていた。妄想での私は自信をもって堂々としていて、こんなふうにこそこそはしない。悲しみを深める行為を寸でのところで踏み止まった私にご褒美。偉いぞ自分。自販機は何処かな?温かい飲み物でも飲もうかな?




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