片想いの奇跡
「いや、今日忙しかったじゃないですか。バタバタしてたんで問題点発見。で、その反省会」
何を話し合うんだろう?たまたま高校生バイトが帰った後で団体客が立て続けに賑わっただけで、ホールがてんやわんやするのはいつものことだし、お客さんだって状況をわかってくれてそれなりに大きな問題なく事が運んだはずだ。
私だってそういう想定を踏まえて出勤しているから準備はできている。
私は一刻も早くこの場を去りたかった。
ああ、でも始発まで二時間ある。
今日は忙しい割にお客さんの引きが一気だったから店は早仕舞いした。
「じゃあ、戸締まりきちんとね。イチャイチャすんなよ」
その言葉で私は全身に悪寒が走った。