片想いの奇跡
周りを和ませる話の流れにせよ私にとっては悪趣味だ。
「ふーん、じゃ、付き合ってるんだ?」
「違いますよー、お客さん!私なんか、候補にもないです」
当然、周りはこういう私の否定で信用などしてないだろうけれども、酔っぱらいの暇潰しなからかいであることはわかっているのだけれども、それ自体がいちいち疲れる。また、強く反発できない。怒ったように否定すると上坂さんの立場もあるだろうし、かといって上手にその場を切り抜ける技量も私にはない。
どうすればいいのか正直わからなかった。真顔で機嫌を損ねた雰囲気を醸すのが正解なのかもわからない。笑顔で対処していたが、それも間違っているのかもしれない。どう答えていいのか、どうすればいいのか正直わからなかった。迷っている間に話は次に進む。
「オメーら、付き合っちゃえ!」