片想いの奇跡






しかし、上坂さんは仕事はできる。



こと、業務に関してはきっちり丁寧に指導してくれた。



お陰で思っていたより早く私は一切の仕事を賄えるようになった。時給も普通より早々に上がった。



そこは感謝している。



お客さんの騒々しい声もなく有線も流れない店内はよけいにがらんと広く感じる。



「一杯やる?」



取って付けたような今後のローテの打ち合わせでひと段落を終え、上坂さんは一服と言ってお酒を勧めた。



「いえ」





< 21 / 45 >

この作品をシェア

pagetop