片想いの奇跡






いや、もう私は店を辞める。そうなると、今日が最後かもしれない。



どうせ告ったところで間違いなくフラれるだろうし、第一、こんな美人でもなくスタイルも半端な浪人中で真夜中までバイトするような女子が彼に相応しいとは思えない。



だったらいいや別に。最後くらい目に留まるでしょ?せめて最後は微笑んだ顔で勝手なお別れ儀式をしよう。



彼は……



やっぱり来てくれた。別にデートの待ち合わせじゃないのに……いや、でもでも、いいでしょ?最後くらい、都合よく妄想させてよ。



斜め向こうの彼を眺めていると何故か瞼が熱くなり、視界が滲んだ。



もうすぐ彼が降りる駅……が……



近づいて……





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